オロチョン族は中国の少数民族の1つとして数えられており、その人口はだいたい7000人から9000人のあいだだと言われています。
いわゆるツングース系と呼ばれる民族にあたり、通常話している言語もアルタイ諸語のツングース系の言葉が使われています。
ただ、話ことばではなく文字としては中国語を使用しているようです。
この民族は狩りをしながら住む場所を転々と移動し、
長く民族として生きてきましたが、最近は一定程度定住する人たちも増えてきている現状があります。
メインエリアとしては、アジアの北東部にあたる中国のモンゴル自治区であったり、
その周辺となるロシア寄りの場所に住んでいます。
前述のとおり、オロチョン族の代名詞は狩猟です。
長らく馬を使っての狩りをしていて、移動そのものや荷物を運ぶ役目を伝統的に馬に任せてきました。
食べるため、または飲むためを目的に獣を狩り、その肉や内臓、血をとっていきます。
また別の目的として皮革の採取も挙げられます。
シカ類が主なターゲットになりますが、クマやイノシシ、オオカミ、さらに小動物ではリスなども狩ります。
宗教としてはシャーマニズムを信仰しています。
狩猟民族として知られるオロチョン族は、騎手としてのテクニックに秀でています。
基本的に男性が狩りをおこないますが、その長い経験から対象となる獣たちの特徴や習性を完全に把握できており、狙った獲物は逃しません。
また、狩りの成果は民族の中で平均的に配分するという文化が根付いています。
シカとの関わり合いが深い民族であるため、ノロジカ肉をふんだんに使った民族料理も有名です。
食べ物の配り方に優劣はなく、むしろ生活弱者となるものがいた場合その人に対して多めに食料を渡す等、社会習慣ができあがっています。
そのため、中国の現体制の中で少数民族の1つとなった今、定住化も進めることができ、
自然関係の保護者として立ち位置を獲得することができたということも言えるでしょう。
居住エリアとの関係で、シラカバを使った文化もポピュラーです。
シラカバの樹皮を使って作った工芸品や、シラカバの幹を利用して作った住居などがあります。
その伝統的住居については、比較的細めのシラカバを持ち寄り、
その柱を複数組み合わせ、狩猟で得た獣の革で周りを覆ったもので、よく言われる円錐形の天幕式住居です。
かつてはこういった工芸品や狩猟で得た皮革などで他民族と交流を図り、食料やお酒なども得ていたと言われています。
モンゴル自治区の狩猟民族であるため、モンゴル人をイメージする際の衣装もありますが、有名どころとしてはシャーマンとしての衣装のようです。
オロチョン族以外にエヴェンキ族のものもあったりするのですが、どれも非常にカラフルな出で立ちです。
赤をベースとした全体の色合い、つくりのしっかりとした帽子、
そこから顔を覆うように垂れ下がっている数珠のような膜、といった点が主な特徴でしょうか。
シャーマンとは神と人間の間に位置する仲介人の意味合いがあるようで、それらを体現しているかのごとく、とても特徴的な外見となっています。